猫の膵炎

今日は猫ちゃんの膵炎について書いていこうと思います。

膵炎というのはその名の通り、膵臓に生じた炎症の総称です。これをまた二つに分けると、「急性膵炎」と「慢性膵炎」に分けることができます。この慢性膵炎もまた診断が難しいものなのです。急性膵炎の後に慢性膵炎に移行するのか、急性膵炎とは別の病態で慢性膵炎を起こすのか、今の所まだ不明です。

症状は犬ちゃんでは消化器症状(食欲不振、嘔吐、下痢)がみられるのですが、猫の場合はそれすらはっきりしないことがあります。ただ、なんとなく「食べない」とか、「元気が落ちてきたような気がする」といった、一見つかみきれないような症状のみの場合もあります。吐き続けるといった激しい症状がみられることはあまりありません。

重度になってきますと、下痢や嘔吐に由来する脱水症状、腹部の激しい痛み、発熱等がみられるようになりますが、必ずしもこれらすべてが必発するとは限りません。また、

慢性膵炎の場合、胆管炎や胃腸炎を併発していることが多く、逆にいうと、胃腸炎がひどい場合には膵炎も疑った方がいいということなのかもしれません。

同じような症状であっても膵炎以外にも考慮すべき疾患が非常に多くあるので、さらに精査していく必要があります。

重度の膵炎であればレントゲンや、腹部エコー検査で異常所見が発生します。猫ちゃんの場合はなかなかはっきりとエコーで見ることが難しい場合もあり、異常所見がみられるような場合には、腹膜炎に至っていることもあるので、そのばあいは緊急性を要します。程度にもよりますが、腹腔内洗浄を行ったり、播種性血管内凝固(DIC)といわれる全身性の血液を止める作用に問題が生じていたりすることもあるため、抗血栓療法、蛋白分解酵素阻害薬を使用するなど、集中治療が必須です。

最近では血液検査で猫膵リパーゼ(f-PLI)という酵素を測定することでより膵炎の診断が行いやすくなりました。それまでは、猫の膵炎に対しての有効的な血液検査項目に乏しかったのですが、この検査によって膵臓の機能の評価が行いやすくなりました。

また、原因を調べるのに試験開腹が必要な場合は膵臓の組織を一部とって病理検査で診断をつけるといった方法もありますが、その

診断が確定し治療に入るのですが、この治療がなかなか地味なんですが根気のいるケースが多いです。

急性膵炎の場合は、嘔吐中の絶食と補液徹底して行います。徐々に食餌が取れるようになってくるまで献身的な看護が必要です。

慢性膵炎の場合には、経過に時間がかかっているため一部は不可逆的(完全に元の機能を戻せないこと)になっていることもありますから、療養期間は急性膵炎よりも長期にわたることが多く、場合によっては終生のケアが必要となることもあります。

長期療養となると、より獣医師と飼い主様との連携が大事になり、定期的な経過観察や意見交換が必要になってくると思いますので、根気よく猫ちゃんの快適な生活を目指しましょう。