停留睾丸

猫ちゃんが去勢手術で来院しました。

見てみると...睾丸が一つしかありません。もう一つはお腹の中にとどまったまま。こういう状態を停留睾丸といいます。

胎仔時代の睾丸は、お腹の中にあり、これが、少しずつ足の付け根方向へ移動し、産まれてくるころには、お腹の外の陰嚢の中におさまるのが普通なのですが、その過程がうまくいかず、お腹のなかにとどまってしまったり、本来の位置に行く前の段階の鼠径部にあったりといったことがあります。

腫瘍発生率は正常な睾丸の10倍以上といわれています。通常外に出ている睾丸の中の精巣は低めの温度を保ちますが、体内に残された精巣はそれよりも高い温度状態にあります。適した温度でない場所にあるため、精巣は徐々に変化し、セルトリ細胞種と呼ばれる腫瘍になる確率が上がるようです。
また片睾丸で陰嚢の睾丸のみを摘出しても、体内に残った睾丸は温度が高いにもかかわらず精子が生き延びていてメスを妊娠させる可能性があります。性ホルモンに関する問題行動は、体内に睾丸が残っている場合治まらない事が多いようです。

手術は鼠径部に片側の睾丸がでていれば、その部分の皮膚を少し切って摘出なので、そんなに負担はかからないのですが、それがわからないとなると、お腹を切って、♀の避妊手術のようにお腹の中の睾丸を探す必要があります。

この猫ちゃん、残念ながら、鼠径部には睾丸が見当たらず、お腹を切ることに。オーナーさんも、手術立ち合いをご希望だったので、不安そうに見ていましたが、無事、お腹のなかの睾丸も摘出できましたshine

麻酔も順調に醒めてオーナーさんも一安心。

去勢手術は普通は二個睾丸があるものなのですが、こういう場合もあります。その場合には手術の方法も手術時間もまったく変わってきますので、おうちの猫ちゃん、睾丸二つあるか確認してみてくださいね。