栄養カテーテル

ここ数日、状態が重い犬ちゃんが続いています。

長期入院が必要になりそうで、ごはんを全く食べないと弱ってしまいますし、絶食によって、新たに病気を作る場合があると判断した時は、強制的にごはんをあげる必要があります。

カテーテルを入れるには鼻からいれる経鼻カテーテル、食道部分に入れる、経咽頭カテーテル、胃に入れる胃チューブ、腸に栄養を入れる経腸カテーテルがあります。

麻酔をかけずに行えるのは経鼻カテーテルですので、通院中の犬ちゃん、猫ちゃんで、栄養がひつような場合にはおすすめしています。ただ、鼻から入れるため、チューブが細いものでないと入らないので、ごはんも少しずつ頻回投与する必要があります。子猫ちゃんですと、チューブが鼻に入らないので適用できないことがあります。

経咽頭チューブ、胃チューブ、経腸チューブに関しては麻酔が必要ですが、経咽頭チューブは短時間で設置できます。また、割合太めのチューブを設置できますので、液状の食事だけでなく、缶詰をどろどろにした流動食も与えることができます。欠点としてはやや感染が起きやすい(チューブ廻りが化膿することもあり)ので、長期の留置には余り向かない、食道疾患のある動物では嘔吐するので設置できない、などあります。だいたい1ヶ月ぐらいの設置を目安とするなら、胃チューブよりも短時間の麻酔で済み、内視鏡もいらず簡単にできるので疾患によっては便利です。

胃チューブは人間ではおなじみのものだとは思いますが、動物の場合、全身麻酔をし、内視鏡で胃の位置を確認し、左腹部を上にした動物のろっ骨後位からチューブを挿入、設置します。また、開腹手術が必要な動物の場合、手術時に胃切開にて設置することも行います。かなり太いチューブが設置可能なので、食道チューブ同様にどろどろの流動食も給餌可能です。適量を給餌すれば多くの場合は嘔吐はかなり少なく済みます。長期間留置していることにより、腹壁と胃が癒着することにより、ろう管というのが形成されるため、チューブ設置して2週間以上たてば、チューブのずれによる服腔内への食事の漏れはほとんど心配なくなりますが、設置初期にはチューブが胃から抜けたりして食事が服腔に漏れる事故がまれにあるため、注意して与えなければなりません。設置はかなり長期間行えますが、チューブ廻りの感染には若干注意が必要です

経腸チューブ:胃の拡大切除など、小腸上部までの消化管に疾病がある場合の適用となります。腸に設置するため、腸の蠕動によりずれたり抜けたりするリスクがやや大きいです(抜けたときに腸内容が腹腔に漏れるリスクはかなりある)。チューブ径も感染を阻止するには細い物しか設置できないため、液体食中心となるため、給餌料、カロリー確保がやや大変です。
なお、この経腸チューブのリスクを軽減するために、経鼻チューブを小腸まで誘導する方法、胃チューブを設置してそれを経由して小腸までチューブを誘導する方法などが行われることもありますが、いずれもきっちり固定できないために小腸の蠕動で抜けることがあります。

それぞれに利点、欠点があるので、これが一番ということではありません。そのこの状態によって判断するような形となります。わからないことがありましたら、獣医師に相談してくださいね。