膿皮症

最近、皮膚病で初診の犬ちゃん、猫ちゃん、増えています。季節の変わり目だからというのもあるかもしれませんが、本当は主に湿気が多く、細菌感染しやすい夏に多いといわれている膿皮症についてのお話です。

膿皮症は細菌感染により起こります。人間のニキビのように赤くプツっとして皮膚の表面のみに起こる表皮性膿皮症と皮膚の奥の真皮というところまで細菌感染が及んでいる深在性膿皮症があります。初期の段階では赤いプツプツが少しみられる程度かもしれませんが、なめたり、かんだり、刺激を与えたりすることで、赤黒くなったり、周囲にかさぶたができたりします。主に脇や内股、四肢の先端などにできやすい病気です。

とてもかゆがっているというオーナーのお話で、すぐにかゆみ止めなどのステロイド剤を出すだけでは、再発し、どんどん悪化してしまう恐れがあります。ステロイド剤はかゆみを止めてくれるお薬ですが、同時に皮膚の免疫力を弱めて、細菌感染しやすくなるリスクがあります。

そのため、まずはしっかり鑑別を行う必要があります。環境やごはんの種類、いつごろから始まったのか、何かきっかけはあったのか、シャンプーの種類や頻度など、それと同時に全身の皮膚の状態をチェックします。膿皮症だけなのか、ほかにかゆみを起こす原因はないのかを調べるために、まずは皮膚の毛や赤くプツっとしている部分をとって顕微鏡で寄生虫がいないか、細菌感染のほかに真菌はいないかをチェックします。

膿皮症の治療は細菌に効果のある抗生物質を一定期間(通常は3週間以上)しっかり飲ませることが必要です。よくなってきたからやめた、うまく飲ませられないといったことで、勝手に薬をやめてしまうと治るものも治らなくなり、皮膚の状態が悪化すれば、二次感染でさらに皮膚病がひどくなる恐れがあります。うまく飲ませられない場合には粉のタイプや液状シロップにする、錠剤をうまくくるむおやつなどがあります。また薬が合わずに飲ませると下痢や嘔吐してしまう場合には別のタイプの抗生物質もありますので、遠慮せずに獣医師に相談してくださいね。

それから、膿皮症の犬ちゃんにはシャンプーが非常に有効な治療となってきます。これは市販のものではなく、病院専用の抗菌シャンプーを使う必要があります。お散歩などで体が汚れやすいという場合には今まで使っていたシャンプーでまず体の汚れを落としてから、薬用シャンプーを使う必要があります。頻度もお手入れと違い、週に2,3回行う必要があります。良化してくれば、シャンプーの頻度を減らすことも可能ですがまずはこまめにしっかり洗う必要があります。

皮膚病は治りにくく、再発しやすい病気ですが、上手にコントロールできるように、動物病院とおうちで連携をとっていけるといいですね。