ネギ中毒
こんにちは、獣医師の佐藤です。
今回はネギ中毒についてお話しします。
名前の通り、ネギや玉ねぎを摂取した犬に起こる中毒ですが、
他にもニンニクやラッキョウ、ニラなどもネギ属になるので注意が必要です。
特に毒性が問題となるのは玉ねぎとニンニクになります。
これらの植物を摂取すると、赤血球が酸化され溶血性貧血を起こすことがあります。
また、ネギ中毒は加熱調理や乾燥加工されていても発症することがあるので注意して下さい。
犬での中毒量は15-30g/kg、もしくは体重の0.5%の玉ねぎを食べることで発症すると報告されています。
ネギ中毒の症状は摂取後すぐではなく、1-数日後に出ます。
初期は嘔吐、下痢、活動性の低下ですが、
貧血の進行に伴い、粘膜蒼白、虚脱、呼吸数の増加、褐色尿などが見られるようになります。
重篤化したケースでは、適切な治療がなされなければ命にかかわる事もあります。
ただ、ネギ中毒に対する解毒剤や特別な治療は存在しないため、
ネギ中毒を発症してしまった場合は、貧血の進行を止めることはできず、あくまで支持療法が基本となります。
摂取した直後なら吐かせる処置や、活性炭の内服で中毒物質の吸着が可能なため、
症状がないから様子を見るのではなく、食べて間もない場合はすぐに近くの病院に相談してください。