膿皮症の概要

膿皮症は細菌感染に起因する皮膚病の総称で、犬では頻繁にみられます。犬の皮膚や被毛には、どんな場合でも細菌がすくなからず付着しているといえますが、皮膚が健康であれば、それらがみやみにふえて皮膚に病気をおこすことはありません。それは、皮膚自体が菌の異常な増殖をおさえる力をもっているためです。

そうであっても、体の免疫力が低下することに加え、年を重ねることで皮膚が抵抗力を失うと菌が異常に増え、皮膚が化膿することがあります。これを膿皮症といいます。

症状

症状としては、細菌が増えることにより皮膚が部分的に赤くなり、しだいにかゆみを起こします。膿皮症は、体中に起こりますが、顔や脇、内側や指の間などにあらわれます。

膿皮症を発症すると、初期の段階では毛の根元の毛包だけに菌が増え、皮膚の表面に小さな赤い発疹(ブツブツ)が局所的にでき、かゆみを起こします。進行すると、患部が丸く広がり、中心部に色素が集まって黒くなり、腫れたり、膿を出したりします。それが、あたかも牛の目のようになるので、ブル・アイ(牛の目)と呼ぶこともあります。

膿皮症はかゆみが強いため、犬が舐めたり引っかいたりすることによって、1日にして体の広い部分から毛が抜けてしまうこともあります。こうした突発性の脱毛は、なめたり、噛んだりしやすい部位、つまりは四肢やお尻の部分によくあらわれます。

膿皮症は夏に発症しやすく、症状が進行すると病巣が皮膚の深部におよび、膿をもつことや患部がふくれあがることでひどい痛みが生じたり、発熱したりするようになります。

症状が重くなる前に気づき、早めの治療ができるように、定期的な健康診断をおすすめします。